「苦しさがなければ楽しさもない」萌木の村・ROCK復活記念、舩木上次さんインタビュー

さまざまなお店が集まる清里・萌木の村。そのシンボル的な存在であるレストラン・ROCKがこの春復活しました。昨年夏に火災によって店舗が全焼してしまったのですが、復活を望む声に応えるように急ピッチで再建が進められ、今年4月末に新店舗でのプレ営業がスタート。そして6月9日の「ロックの日」にいよいよグランドオープンを迎えました。今回はその復活を記念して、ROCKの創業者・舩木上次さんにお話を聞きました。

萌木の村のシンボルともいえるレストラン・ROCK。2017年6月9日に本格復活を果たしました。

苦しさがなければ楽しさもない

清里は「開拓者の土地」と呼ばれることがありますが、ROCKはまさにその魂を体現する存在でもあります。舩木さんがROCKがオープンさせたのは1971年。当時清里では初めての喫茶店であり、周囲はまだ未舗装の砂利道という時代だったといいます。その後、ホテルをオープンさせたころから観光地として若者人気が高まり始め、80年代に入るころには清里は「ミニ原宿」的なリゾートとしてブームとなりました。

ですが、ブームはいずれ去ります。80年代後半に入ると観光客は減少していき、ブームに乗して参入した店は次々と撤退していくことに。しかし、この土地に生まれ育ち、この土地での哲学にこだわっていた舩木さんらは残りました。萌木の村やオルゴール博物館の立ち上げなどを通じ、清里の開拓を続け、ブームではない新たな土地の価値観を育てていったのです。

ROCKの創業者・舩木上次さん

今回話を伺ったとき、舩木さんはたびたび「挑戦」という言葉を口にしました。

「挑戦しなければ楽しいことなんてない」。

舩木さんが大学を中退し、ROCKをオープンさせたとき、資金はようやく集めた300万円ほどだったといいます。「店もほったて小屋みたいなもんで、2年は給料も出せなかった」と振り返っています。だが、その表情はツラい時代を振り返っているというふうではありません。舩木さんはむしろ立派になった今の店舗のスタッフをかわいそうだと語ります。

「オープンしたころはお客さんなんて全然来ない。だから、ようやく来たとき本当に嬉しいんだ。大変なこと、苦しいことがなきゃ楽しさなんてない。だけど、今はもう最初からお客さんが来てくれる。復活したときもたくさん人が来てくれた。それはありがたいことだけど、最初からそういう状況だと人が来てくれた嬉しさを感じられないでしょ? かわいそうだよ」

田舎はどんな人間にも役割がある

開拓は何もないところから始まる。ですが、同時に舩木さんはその魂が突然生まれたわけでもないと言います。

「俺の考え方や清里という場所は、ポール・ラッシュ先生が種をまいていたもの。物心ついたころには近くにいて、その考え方が自然に染みこんでいた。そういうものがあったらか生まれたんであって、急に自分だけで始まったわけじゃない」

ROCKにはブルワリーが併設されており、オリジナルの地ビールを醸造しています。

ポール・ラッシュ博士はアメリカ・ケンタッキー州生まれの牧師で、1925年に来日して以来、アメリカンフットボールの普及や戦後の復興支援などさまざまな功績を残した人物。そして、ここ清里ではキープ協会を立ち上げ、寒村だったこの土地に酪農などを根付かせました。清里開拓の父として今も多くの人に愛されています。

そんな開拓が残したのは、事業や産業だけではありません。清里には開拓者の思想が残り、それが舩木さんに、そしてさまざまな人に直接的、間接的に受け継がれていったのです。

舩木さんは冗談めかして話します。

「俺なんかバカだから、東京だったら生きていけなかったと思うよ。東京だと何でもただ勝つか負けるかの競争になっちゃう。開拓者は『負けるか!』って思うライバル同士でもあり、同時に仲間でもある。ひとりじゃ土地を拓けないもの。何かを動かしたりするのだってひとりじゃ無理。そうやってみんなに役割が生まれる。たとえば馬に水をあげる仕事でも『自分がこれをやらなきゃ馬は生きていけないんだ!』っていう誇りを持って生きられる」

面白いことはずっと先にある

挑戦がなければ楽しいことはない。だけど、何に挑戦すればいいか、自分にとって面白いことは何かを見つけるのは案外難しいもの。インタビュー中、そんなことを口にすると舩木さんはこんなことを話してくれました。

「ドイツにケルン大聖堂って建物がある。これは途中で工事中断を挟みながら、600年以上かかってやっと完成したんだよ。とんでもないだろ? 最初に始めた人なんて基礎の基礎みたいなことばっかだったはずで、当然できあがった姿は見られない。でも、その最初に始めた奴はそれがつまんなかったと思う? きっとワクワクしてたでしょ。自分が死んでずっとずっと後にここにこんな大聖堂ができるって途方もない想像してたんだから。ずっと先のことを考えてるから面白い。仕事や事業も同じ。当然目先のことを考える必要はあるんだけど、それだけ考えてたら面白くない。俺はそういう人間とは話ができない。ずっと先のことを考えてなきゃ、目先のことなんて俺には『どっちでもいいこと』になっちゃうから」

ちなみに、お話を伺った日はグランドオープンに向けてメニューの試食を行っていました。スタッフで食べて、さらに味の調整を行っていたそうです。

ポール・ラッシュ博士の時代、ROCK創業の時代とは比べものにならないほど、今の清里は拓かれています。でも、開拓は終わりません。開拓者の魂が受け継がれる限り、ここは何かの始まりの場所なんです。

SPOT INFORMATION

萌木の村 ROCK

萌木の村の名店・ROCKが2017年6月9日の"ロックの日”にリニューアルオープンしました。新たな店舗は、北欧風の中に和のテイストがあり、メイドイン北杜市が満載!人気のビーフカレーや、オリジナル地ビール・タッチダウンはもちろん、甲州麦芽ビーフのステーキや、イタリアで修業したシェフが焼くピザ、種類豊富なデザートなど、バラエティ豊かなメニューが揃っています。老若男女問わず楽しめるレストランです。

住所
〒407-0301
山梨県北杜市高根町清里3545
電話番号
0551-48-2521
営業時間
10:00~22:00(21:00フードラストオーダー、21:30ドリンクラストオーダー)
定休日
なし
メニュー例
ROCKビーフカレー 1,080円
ピルスナー(八ヶ岳地ビール) 580円/S
甲州麦芽ビーフ赤身ステーキ(150g) 2,370円
駐車場
あり
詳細ページ
http://www.moeginomura.co.jp/ROCK/

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