「桜餅」長野県民と山梨県民で食べている種類が違う? 地域のお店に聞いてみました

 

桜が咲き始めると食べたくなる「桜餅」。春の風物詩として多くの方々に愛されています。

桜餅は、大きく分けて2種類あります。

ひとつは関東風といわれる「長命寺(ちょうめいじ)」。白玉粉や小麦粉などを使用し、まるでクレープのような焼き生地にあんこを巻いています。桜餅の元祖はこの「長命寺」といわれています。

もうひとつは関西風といわれる「道明寺(どうみょうじ)」です。蒸したもち米や、もち米を乾燥させた道明寺粉を使用しており、つぶつぶとした見た目が印象的な桜餅です。

みなさんが生まれ育った場所や住んでいる場所では、どちらの桜餅をよく見かけますか?

長野県民と山梨県民で食べている桜餅が違う!?

日本のほぼ中心にある山梨県と長野県をまたいでそびえ立つ八ヶ岳。ハチ旅ではその周辺エリアを「八ヶ岳エリア」と呼んでいますが、すぐ近くでありながら長野県と山梨県で文化的にはっきり分かれていることもあります。

実は桜餅も違いがある文化のひとつです。同じ八ヶ岳周辺エリアでも、長野県民の多くは桜餅といえば長命寺というイメージを持っているようですが、山梨県民は「桜餅=道明寺」と捉えていることが多いんだそうです。実際、私も生粋の山梨県民ですが、長命寺の桜餅を今まで見たことも食べたこともありませんでした。

となりあっている県なのに、桜餅のイメージが違うのって、なんだか不思議ですよね。

関東風といわれる「長命寺」。

関西風といわれる「道明寺」。

山梨県、長野県にある和菓子屋さんに聞いてみた!

実際のところ、山梨県と長野県で売っている桜餅に大きな違いがあるんでしょうか? 八ヶ岳エリアにあるお菓子屋さんを調べてみることにしました!

■金精軒(山梨県北杜市)

まずは八ヶ岳エリアを代表する和菓子屋さんのひとつ、金精軒へ。日本百名山の甲斐駒ヶ岳、日本の名水百選の白州・尾白川(おじらがわ)、日本の道百選の甲州街道 台ヶ原宿と3つの百選に囲まれ、来年2022年で創業120周年を迎える老舗です。
厳選した素材だけでつくる信玄餅で知られるお店で、最近では夏季限定の「水信玄餅」でも有名になっています。

金精軒台ヶ原本店は、先日放送されていたテレビドラマのロケ地にもなっていました。

道明寺(右)と3月3日・4月3日・週末限定で販売中の長命寺(左)。

そんな金精軒さんでは、現在道明寺と長命寺の2種類の桜餅を販売しています。もともとは道明寺のみをつくっていたのですが、桜餅誕生300周年の2017年に全国和菓子協会の記念イベントで道明寺と長命寺の両方を販売したそうです。

それが反響を呼び、買いに来るリピーターさんが多かったことから、3月3日のひなまつりと山梨県のひなまつりとされる4月3日、そして週末限定で焼き生地でつくる長命寺の桜餅も販売するようになったそうです。

もともと道明寺だった理由については、はっきりわからないとのことですが、金精軒で桜餅といえば道明寺だったのは間違いないようです。

金精軒さんで昔から道明寺の桜餅をつくっていた理由は伝わっていませんが、「金精軒や山梨といえば、桜餅は道明寺」と思っていたようです。金精軒さんの従業人さんでも「子どものころから道明寺の桜餅を食べていたから、桜餅といえば道明寺だと思っていた」とおっしゃる人が多いんだとか。

さて、お味はというと、両方とも甲乙つけがたいおいしさ!

道明寺の方は炊いたもち米でつくっているのが特徴です。道明寺の桜餅は、もち米からつくった道明寺粉でつくることも多いのですが、金精軒さんでは毎日早朝からもち米を炊いて、そのお米を使ってつくっているんです。白州の名水を使って丁寧に炊いたできたてのもち米で包んだ道明寺はとてもやわらかく、もちっとしています。

長命寺も朝一で1枚1枚、丁寧に手焼きしていきます。小麦粉のほか、3種類のもち粉をブレンドした少し厚めの生地です。作りたてのもちもち、ぷるんぷるんな食感は、きっとクセになりますよ。

そして、共通するおいしさの秘訣は自家製のあんこ。あんこの味は、使う水によって味に違いが出てくるそうです。名水を使った金精軒さんのあんこ、とってもおいしいですよ。

▶台ヶ原金精軒 台ケ店
住所:山梨県北杜市白州町台ケ原2211
電話番号:0551-35-2246
営業時間:9:00〜17:00
定休日:木曜日
駐車場:あり(徒歩2〜3分)
公式サイト:https://kinseiken.co.jp/
桜餅販売期間:4月上旬 ※長命寺は週末限定販売
道明寺 162円(税込)
長命寺 162円(税込)

■福田屋本店(長野県下諏訪町)

次は長野県側、諏訪大社下社の近くにある福田屋本店さんへ。ここは静岡県富士宮市から引っ越してきた先代が、大正7(1918)年にお店を構えてはじまった100年以上の歴史があるお餅菓子屋さんです。

福田屋本店さんといえば、「信州あべ川餅」。餅米をついてつくるお餅に、地元・長野県塩尻産の青大豆「あやみどり」のきな粉を絡めたこだわりの商品で、長年地元で愛されています。「この素朴な味を守り続けていきたい」と店主さんは強くおっしゃっていました。

信州あべ川餅。

道明寺(左)と長命寺(右)。赤色の生地はこしあん、白色の生地はつぶあん。

取材に行ってみると、こちらでも2種類の桜餅が販売されていました。長命寺は少し早めの3月頃に販売。その後、周辺で桜が咲く4月ごろからゴールデンウィークにかけての時期には道明寺の桜餅を販売しているそうです。

面白いのは商品の名前。福田屋本店さんの値札をみると、長命寺のことを「桜餅」、道明寺のことを「桜道明寺」と分けて表記していたんです。やはり長野県側だと「長命寺=桜餅」というイメージなのかと感じますね。
長野県は日本の中心でもあり、関東と関西のことばや文化が入り乱れているからではないか、と教えてくれましたが、店主さんが来た頃には両方販売していたんだそうです。

さらに、長命寺の桜餅は紅白の2種類あり、こしあんとつぶあんで分かれています。また、それぞれの桜餅に巻いている桜の葉もこだわっていて、南伊豆で採れた桜の葉を巻いており、とっても鮮やかなグリーンが印象的です。桜餅を持った瞬間、桜の香りがほわっと香り、風味豊かな桜餅でした。

▶福田屋本店
住所:長野県諏訪郡下諏訪町矢木西25
電話番号:0266-27-7397
営業時間:9:00〜17:00ごろ ※店舗へ直接お問い合わせください。
定休日:店舗へ直接お問い合わせください。
駐車場:あり(5台)
公式サイト:http://www.fukudayahonten.com/
桜餅販売期間:長命寺は3月末、道明寺はゴールデンウィークまで
長命寺 162円(税込)
桜道明寺 162円(税込)

■精良軒(長野県 岡谷市)

さらに長野県側でもう1軒足を運んでみることに。シルクの街で有名な長野県岡谷市で明治42(1895)年から現在5代目まで続く老舗の和菓子屋、精良軒さんへ行ってみました。

ここは「まゆ菓子の店」として地元の人々から長く愛されているお店です。岡谷市の地域銘菓である氷餅に卵白入りの糖蜜をかけて乾燥させた「初霜」や繭型の2口サイズもなか「結い」など、その地域に根づいたお菓子の開発を続けています。

先代が集めた落雁(らくがん)の木枠。約500種類の木枠があり、その一部を店内に飾っています。

長命寺(左手前)と季節限定のうぐいす餅(右奥)。

精良軒さんでも理由はよくわからないですが、昔からずっと長命寺の桜餅だったそうです。「山梨県では道明寺が多く、私自身も長命寺の桜餅を初めて見た」と伝えると、とても驚いていました。

なかの自家製あんこは白いんげん入り。焼き皮がとても薄いので、あんこの味が引き立つ桜餅でした。
ちなみに、今の時期はごまあん入りうぐいす餅も大人気。セットで買われる方が多いそうです。

▶精良軒
住所:長野県岡谷市本町2-3-3
電話番号:0266-22-2011
営業時間:9:30〜15:30ごろ※店舗へ直接お問い合わせください。
定休日:※店舗へ直接お問い合わせください。
駐車場:あり(3台)
桜餅販売期間:4月中旬
桜もち 151円(税込)

ハチ旅読者にアンケートも実施してみました!

なぜ山梨県と長野県で桜餅文化の違いがあるのかは取材でもはっきりわかりませんでしたが、やはり山梨県では「道明寺」、長野県では「長命寺」が桜餅として伝わっていることが多いようです。

せっかくなので、SNSにてハチ旅読者のみなさんに「どちらの桜餅を食べているのか」アンケートをしてみました。
ご協力くださった11名のみなさん、ありがとうございました!
集計結果はこちら!

質問:あなたはどちらの桜餅が好きですか?
1:関西風(道明寺)=4
2:関東風(長命寺)=2
3:どっちも好き!=5

道明寺、長命寺ともに知っていて、「どちらも好き!」という方がいて、驚きました。

あなたは、道明寺派? それとも長命寺派?? この春はお近くの和菓子屋さんで、桜餅を買ってみてはいかがでしょうか?

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