諏訪湖や諏訪大社、温泉など、観光地として訪れる人も多い長野県の諏訪エリア。でも、それだけでなく技術と産業、食などの文化の集積地でもあるのをご存じでしょうか?
明治から昭和初期にかけては諏訪湖周辺で製糸産業が興隆。ピーク時には世界一の生糸輸出量を誇りました。戦時中に疎開してきた工場などの技術が根付き、戦後には時計やカメラなど精密機械産業が盛んに。「東洋のスイス」と呼ばれるほどになりました。そして、その後は自動車などの精密部品の製造で知られるようになり、現在では諏訪圏工業メッセといったものづくりの展示会も行われるようになっています。
食では、お酒や味噌などに加え、漬物など発酵文化の老舗が集まるほか、長野県内ではソウルフードとも呼ばれるラーメンチェーン・テンホウのようなお店の発祥の地でもあります。
歴史に技術、文化が観光やものづくり、食などさまざまな分野で集積するのが諏訪地域です。
諏訪エリアの企業と学生がコラボして新しいアイデアを考える
そんな諏訪地域の産業や技術を、クリエイティブな人材など異業種と結びつけて、新たなものづくりの価値を生むことを目指してさまざまな活動を行っているのが「SUWAデザインプロジェクト」です。
2020年は公立諏訪東京理科大学に在学中の大学生がプロジェクトに参加。諏訪市内に拠点を持つ企業とコラボし、それぞれの企業に関する「“ワクワクする”未来に向けたアイデア」を考え、プレゼンを行いました。
参加した企業はラーメンチェーンのテンホウ・フーズ、金型製造の旭、諏訪湖畔のホテル・紅や、精密加工、精密部品製造の高島産業、漬物づくりと販売の松尾商店の5つの事業者さん。大学生たちも5つのチームに分かれ、それぞれの事業者さんを研究したり、話を聞きながら、新しい事業アイデアを練っていきました。
ラーメンとテクノロジーで未来を考える!?
10月下旬に事業者見学からスタートし、12月6日にその成果発表会が行われました。発表会では諏訪市長の金子ゆかりさんのほか、わかる事務所の玉樹真一郎さん、映像制作専門家のくろやなぎてっぺいさん、ブランディング専門家・鶴本晶子さんと、第一線で活躍しているクリエイターの方が集まり、審査員となってグランプリを決定しました。
グランプリに選ばれたのは、テンホウと諏訪東京理科大学のコラボで、プラスチックごみやエネルギー問題、後継者不足といった社会課題を考える実験室「テンホウLAB(ラボ)」。スマホで注文してドローンなどで配達する仕組みや、ビッグデータの活用など、テクノロジーとの組み合わせでテンホウはもちろん、地域の課題を解決するような場を提案しました。
このほかに、「準グランプリ」と会場投票による「オーディエンス賞」が選ばれましたが、受賞を逃したチームのアイデアも力作揃いで、審査員の方々も大いに悩んだそうです。
力作揃いのプレゼン動画が公開中
ちなみに今回のプレゼンでは、各チームがアイデアを動画にして発表。ラップのリズムに合わせて自分たちのアイデアを1分ほどの動画で伝えるという形をとっています。
この動画は現在YouTubeにアップされているので、誰でも見ることができますよ。
こちらは準グランプリを受賞した紅やと大学生チームのプレゼン動画。
「野沢菜でゲームをつくる」といった思いがけないアイデアも。審査員はもちろん、企業さんも普段はなかなか考えないような企画に触れ、刺激を受けていました。今回は企画プレゼンまででしたが、ここから実際の事業につながるものも生まれたら面白いですね。
また、企画を考える過程で各チームが企業紹介の動画も作成。同じ映像に対して「一般的な企業紹介」と「別視点からその企業を捉えた紹介」の音声をつけた2種類の動画をつくり、公開しています。
こちらは松尾商店の紹介動画。いわゆる一般的な企業紹介の方は「主音声」と呼ばれています。
同じ映像を使って別の音声・アプローチで企業紹介をする動画。今回の企画では「副音声」と呼んでいます。
ふたつめの動画では「社員さんがずっと社員食堂の話をしている音声」など、一般的な企業紹介では見えてこない会社のカラーを垣間見ることができる内容となっています。
学生のアイデアを通して、諏訪エリアの企業の魅力や未来に触れることができる動画。ぜひチェックしてみてください!
▶サイト:https://design.suwa-premium.net/
▶YouTube:https://www.youtube.com/channel/UCnhxUb-4c00HdezPjiOKsPQ