大自然を融和し、「混沌から希望へ」というテーマをもとに創設された中村キース・ヘリング美術館。キース・ヘリングの作品を紹介する世界で唯一の美術館として、作品や資料合わせて約1,000点を超えるコレクションを所蔵しており、彼が今なお発する生命のエネルギーとメッセージを感じられる空間です。

中村キース・ヘリング美術館。
そんな中村キース・ヘリング美術館にて、6月7日より2025年度の展覧会がはじまります。
キース・ヘリングの彫刻作品を通して造形表現を辿る
ひとつめは、「Keith Haring: Arching Lines 人をつなぐアーチ」です。世界各地での壁画制作、アートを多くの人々に届けることを目的とした「ポップショップ」の展開、社会的メッセージを発信する活動など、従来のアーティストの枠にとらわれないプロジェクトを次々に実現したヘリング。なかでも、ヘリングの作品が持つ公共性を象徴するのが“彫刻”です。
この展覧会では、ヘリングの彫刻に焦点を当て、独自の美学と哲学に基づく造形表現を紹介。ヘリングの彫刻制作の出発点となった作品のひとつであり、1985年に制作された《無題(アーチ状の黄色いフィギュア)》の新たな収蔵を記念して、初公開を行います。
ヘリングの彫刻は、切り取られた描線が時に水平垂直に組み合わされ、伸びやかに広がることでモチーフを形作り、空間を驚きや楽しさ、癒しの場へと変容させます。線から面へ、面から立体へと展開するヘリングの造形表現を辿ることで、表現の先にある人々への思いを体感できる展示となっていますよ。

All Keith Haring Artwork ©Keith Haring Foundation Courtesy of Nakamura Haring Collection

All Keith Haring Artwork ©Keith Haring Foundation Courtesy of Nakamura Haring Collection
星を繋いで星座を描くように生み出される作品たち
ふたつめは、「北川原温 時間と空間の星座」です。中村キース・ヘリング美術館を設計した建築家・北川原温の美術館における初個展となります。「内宇宙」を未公開資料とともに体験するインスタレーション、初公開資料や手稿によって紐解く美術館が生まれた軌跡、北川原温の八ヶ岳南麓における創作活動など、さまざまな作品や資料が展示されますよ。
展示では、北川原温の創作のソースを「星」、建築を「星座」に見立て、その方法論や生成の過程を探ります。軸となるのは、「さかしまの円錐」「闇」「ジャイアントフレーム」「自然」「希望」「衝突する壁」の6つ。中村キース・ヘリング美術館を構成する6つの要素です。
まるで星空の中に物語を見出し、星を繋いで星座を描くように生み出されていく北川原の建築のプロセス、そして記憶や文学、詩、哲学、自然科学、美術といったさまざまな要素から、物語を生み出すように建築を生み出す北川原温の独自性を探求していく展示となっています。
美しい自然のなかでアートに触れるひとときを
作品を通してアーティストの人生の軌跡を辿るふたつの展覧会。どちらも、約1年間にわたって開催されます。作品のなかに込められたさまざまな思いを読み解き、八ヶ岳の美しい自然のなかで静かにアートと向き合うことで、それらの芸術のエネルギーを感じる時間を過ごしてみませんか?
[中村キース・ヘリング美術館 展覧会]
- 開催期間
- 2025年6月7日(土)〜2026年5月17日(日)
- 時間
- 9:00〜17:00(最終入館=16:30)
- 場所
- 山梨県北杜市小淵沢町10249-7
- 料金
- 大人=1,500円、16歳以上の学生=800円、15歳以下=無料、障害者手帳等表示=600円(ご同行者1名同料金)
- 詳細ページ
- https://www.nakamura-haring.com/exhibition/